第6回演習 業界再編と株主との対話〜SR(Share Holder Relations)を考える〜(Case No.110 3rd Ed.)

2016年2月27日 於:日本外国人特派員協会会議室

概要

株式交換によってなにわ製鉄の完全子会社になるために株主総会の特別決議が必要な千代田鋼鉄と、その株式交換比率が低過ぎると現経営陣を批判し取締役に参加しようとする投資ファンドのチェリーアセットマネジメント。2007年に東京鋼鐵社と大阪製鐵社の株式交換をめぐり、いちごアセットマネジメント社が個人株主や少数株主の賛同を集めて会社提案を否決した株主総会、いわゆる「いちごの乱」をベースにした、中島塾ならではの迫力あるケーススタディ。
現経営陣が決めた組織再編案を株主はどう判断するのか。

課題

千代田鋼鉄は2月27日開催予定で臨時株主総会を行うこと。
招集通知は方の定めに従って手続きすること。ただし、発送はメール送信にて行う。
本ケースで委任状を勧誘する際には、「金融商品取引法」及び同法に基づく「上場株式の議決権の代理行使の勧誘に関する内閣府令」は適用しない。
株主総会修了後、千代田鋼鉄・チェリーアセットが、それぞれ主催の記者会見を行う。なお、記者会見準備及び会見に関係当事者を参加させるかどうかは各社にて検討する。

対立軸がもう一つ明確にならず、「変わること」に慎重な一般株主心理が反映された結果に

チェリーアセット側は攻め手を欠き、会社側の説明にももう一つ説得力が感じられない。結果的には、株式交換による合併についての会社提案は否決され、チェリーアセット側が提出していた取締役2名選任の株主提案議案も、そしてその修正案も、全てが有効票を獲得することができずに否決に。
会社側が「生き残りのための唯一の方策」としていた合併案が株主によって否定され、会社の未来に不安が増大する株主総会となってしまった。

今回のMIP

「私には夢がある」と熱く語りかけた社長役の阿岸氏。

第5回演習 コンプライアンスと実践(Case No.97 7thEd.)

2016年1月23日 於:日本外国人特派員協会会議室

概要

バス会社が、運転手が無免許状態であったことと、他の運転手を「替玉」に使って隠蔽しようとしていたことが、内部からの告発文書により発覚。会社はどのように対応するのか・・・。
モデルとなるのは、2003年の通称「名鉄バス無免許隠蔽事件」。免許更新を行っていなかった営業所の路線バス運転手が運行中に市内で追突事故に遭った。運行主任は直後に無免許を知らされたが運転を続けるよう指示。その後、別の運転手に県警の事情聴取を受けさせた。「替え玉事件」をめぐり同営業所の5人が逮捕・起訴され、無免許運転続行の事実を隠すために虚偽報告した新たな容疑で当時の本社部長と営業所長も逮捕された、という事件。
これをベースにしながら、鉄道事業担当副社長とバス事業担当副社長との社内的な確執や、無免許運転の当事者と「替え玉」を請け負った運転手との背景事情など、立体的かつリアルなケーススタディ。

課題

1月23日に安全管理体制についての取締役会を行う。
当日は、定例取締役会終了後、全社集会が予定されているため、主だった営業所の従業員も本社に来社している。

取締役会スタート

今回のMIP

確固たる意志を持って終始「強い社長」を務めた窪田氏。

第4回演習 取締役会の評価について(Case No.120)

2015年11月28日 於:日本外国人特派員協会会議室

概要

コーポレートガバナンス・コード原則4-11は「(上場会社の)取締役会は、取締役会全体と しての実効性に関する分析・評価を行うこと」を求めている。
「取締役会が上記責務を果たすためには第三者の評価を得ることが不可欠である」とすること の是非を「賛成派」「反対派」に分かれてディベートを行う。

反対派、僅差で勝利!

今回のMIP

説得力あるプレゼンで反対派チームを勝利に導いた庄司氏

第3回演習 株主総会と企業ガバナンス〜総会は企業を変えられるか?〜(Case No.112-6th Ed.)

2015年10月17-18日 於:アイセミナーハウス

概要

東証2部上場の太陽電気は電気部品の専業メーカー。1945年設立・資本金22億円・従業員160名・売上60億ほどの規模で、昨今は業績が低迷している。2014年3月、大量保有報告書により2007年設立のニコラ電子が30%の大株主になっていたことが判明、2014年10月の定時株主総会では会社提案の取締役承認議案が否決され、ニコラ電子の茂木・窪田・趙が取締役として承認される修正議案が成立、創業家三代目の小林社長はその座を追われた。ニコラ電子出身の取締役たちは、ニコラ電子と太陽電池製造装置の共同開発を行うために巨額の出金を目論むが。。。
太陽電気はニコラ電子による乗っ取りから会社を守ることができるのか、監査役はどう動くのか、前社長の小林は・・・。
課題)
10月17日に太陽電気社の定時株主総会を行う。議案については、事業報告と計算書類の報告、剰余金配当の件は省略し、「取締役5名全員任期満了につき5名選任の件」のみとする。

修正案は複数に。小林社長、返り咲き成功!

第2号議案の取締役選任議案に入ったところで、「議長を務める社長は、選任される取締役の候補者に入っているので、利害関係を有するため議長として相応しくない」と議長交代の動議が提出される。議長交代動議が可決され、鈴木常勤監査役が新たに議長となって議事を進める。
前社長の小林株主からの修正案、さらに他の株主からの修正案も飛び出し、採決の結果前社長小林株主の修正案が可決され、見事返り咲きを果たした。

今回のMIP

誠意と熱意溢れる説得が奏功、社長に返り咲いた小林氏

第2回演習 取締役の責任ー事業展開と取締役の忠実義務ー(Case No.3 24th Ed.)

2015年9月5日 於:日本外国人特派員協会会議室

中島塾伝統のケース

取締役の競業避止義務違反が裁判で争われた「山崎製パン事件」を母体にした、戦略法務講座中島塾で最も著名なケーススタディ。1期から今期25期まで全期において取り上げられているため、卒業生含めて全員が共通体験を有することとなり、中島塾受講者の一体感醸成に効果を発揮している。

概要

第二次世界大戦後の動乱期に、文字通り裸一貫独力で市川製パン社を創業し、事業拡大をして来た現社長の鈴木。ワンマン経営者で、社内の反対にもかかわらず千葉市の川口パンを個人で買収り、関西進出も個人でリスクをとって強引に進めていった。
小麦粉を納入していた東洋製粉社は、鈴木が病に倒れたときに取締役の派遣を依頼されたことを契機に市川製パン社の系列化を画策する。鈴木社長の実弟である副社長の松本との確執も利用し、突然鈴木社長の過去の独断経営行為を会社法違反に該当するとの問題提起から戦いの幕は開いた。

課題)
時代を昭和51年と仮定して、9月6日の予定で臨時取締役会を開催する。議題は社長の法的責任の究明と措置の決定である。ただし、法律は全て現行会社法など(平成26年7月現在)を適用するものとし、過去も同様の法律が施行されていたものと設定する。

創業社長の迫力、東洋製粉側は攻めあぐねる

進行表に記載された議題には「解任」の文字が記載され、張り詰めた緊張感の中で取締役会はスタートした。事前の多数派工作に自信を持つ東洋製粉側の切り込みに対して、堂々と、また時には小さなミスを見逃さずに鋭い指摘を行う鈴木社長。
あくまで穏便かつ合法合理性を確保したい松本副社長の慎重さに対し、業を煮やした東洋製粉側から「あなたは司会ではなく議長なんだから」と手厳しい言葉が飛ぶ。
最後は「関西イチカワも千葉工場と同様に、会社に株式を移転する」ことで法的責任の究明は不明確なまま、鈴木社長の代表権と社長交代について決議が採択された。

荒れる記者会見

記者から求められ、急遽鈴木元社長の自宅での開催となった記者会見は、冒頭松本新社長1名の登場。「取締役会の内容は」「鈴木社長を呼んでくれ。自宅だからいらっしゃるだろう」「先ほどその先の部屋で鈴木社長を見かけたぞ」と記者は収まりがつかない。配布された手書きのリリースも宛名は「取引先各位」となっており、混乱の様相に拍車をかける。
会社側は急遽鈴木元社長を同席させて収拾を図ろうとするが、不透明な印象を残したまま会見終了。

今回のMIP

社長役を熱演した鈴木氏。

第1回演習 非常時のリスク対応(Case No.114 4th Ed.)

2015年7月11日 於:日本外国人特派員協会会議室

概要

日比谷食品株式会社は東証二部上場で、調味料・冷凍食品・健康食品まで幅広く食品の製造販売事業を展開している。人気商品は「まるまる餃子」「まるまるシューマイ」で、これらの製造は全て100%子会社の「多摩川食品株式会社」に委託していて、商品は「製造元:多摩川食品 販売元:日比谷食品」という表示にて販売されている。
7月11日12時30分、製造本部長宛に食品事故と思われる報告が上がって来た。チェーンストア・フレッシュフーズ日比谷店で、前日に「まるまる餃子」を購入して食した客の子供が呼吸困難となり救急車で搬送された、母親によれば当該子供は卵アレルギーを持っておりその症状ではないかと思われる、というもの。
日比谷食品から多摩川食品の幹部にも情報は伝わったが。。。
課題)
・ケースで設定された各自の「役割設定」と「指示」に従って、リスク管理上の対応方針を検討・決定し、その後記者会見を行う。

精緻なケーススタディをロールプレイングで仮想体験する「中島メソッド」、スタート

日比谷食品チーム多摩川食品チーム9名の受講生には、それぞれ個別の役割・ミッションと情報が設定されているので、まずは与えられた個別の資料を読み込むことから始まる。自分自身の戦略目標と組織の戦略目標を設定しながら、それを達成するための戦術を検討していく。
日比谷食品チームは、代表取締役社長・取締役営業本部長・取締役製造本部長・取締役広報部長・取締役法務部長の5名、多摩川食品チームは、代表取締役社長(日比谷食品出身)・取締役総務部長(多摩川食品生え抜き)・取締役製造部長(元日比谷食品製造本部次長)・取締役製造部副部長(元日比谷食品製造本部員)の4名。

緊急対策会議で情報収集開始

合同会議スタート子会社の多摩川食品幹部も親会社の日比谷食品に合流し、一緒に状況把握と対策検討開始。効率良い情報収集と分析はハードルが高い。
ここでは、親会社と子会社という立場と力関係、各自が職責上有する立場(営業部門、広報・法務のコンプライアンスの観点など)や利害関係(特に多摩川食品の幹部社員には個人的な背景事情が設定されている)、対策構築にも微妙な温度差が生じ、議論はなかなかまとまらない。

記者会見

リリースもポジションペーパーの作成も間に合わないままに会見スタート。「原因が特定できていないということは、さらに新たな被害も発生するのでは」「何のための会見なのか」・・・製造ロット番号の確認ミスなどもあり、記者とから厳しい質問の連続。

今回のMIP

記者会見冒頭で被害者の個人情報を開示してしまうなどのミスはあったが、終始粘り強く落ち着いた応対であった日比谷食品社長役の趙氏が、25期一人目のMIP賞に。