第6回演習 株主総会と企業ガバナンス〜総会は企業を変えられるか?〜(Case No.112)

2011年4月9日 於:TKP新橋ビジネスセンター

概要)
東証2部上場の太陽電気は電気部品の専業メーカー。1945年設立・資本金22億円・従業員160名・売上60億ほどの規模で、昨今は業績が低迷している。2009年9月、大量保有報告書により2005年設立のニコラ電子が30%の大株主になっていたことが判明、2010年3月の定時株主総会では会社提案の取締役承認議案が否決され、ニコラ電子の武田が取締役として承認される修正議案が成立、創業家三代目の安本社長はその座を追われた。ニコラ電子出身の取締役たちは、ニコラ電子と太陽電池製造装置の共同開発を行うために10億円の融資を強引に実施しようとする。
太陽電気はニコラ電子による乗っ取りから会社を守ることができるのか、監査役はどう動くのか、前社長の安本は・・・。
課題)
4月9日に太陽電気社の定時株主総会を行う。議案については、事業報告と計算書類の報告、剰余金配当の件は省略し、「取締役5名全員任期満了につき5名選任の件」のみとする。


総会、スタート。冒頭で東日本大震災被災者へ黙祷を行う。
冷静かつ強引に議事を進行する武田社長は、今回のMIP受賞。

「議事録は偽造」と闘う監査役陣
安本前社長が現経営陣を追求する

運命の投票開始
会社側原案(40:60)も前社長提案の修正案(47:53)も、両方否決という、リアルは結末に。

第5回演習 コンプライアンスと実践(Case No.97 2nd Ed.)

2011年2月19日 於:日本外国人特派員協会会議室

概要)
バス会社が運転手が無免許状態であったことと、他の運転手を「替玉」に使って隠蔽しようとしていたことが、内部からの告発文書により発覚。会社はどのように対応するのか・・・。
モデルとなるのは、2003年の通称「名鉄バス無免許隠蔽事件」。免許更新を行っていなかった営業所の路線バス運転手が運行中に市内で追突事故に遭った。運行主任は直後に無免許を知らされたが運転を続けるよう指示。その後、別の運転手に県警の事情聴取を受けさせた。「替え玉事件」をめぐり同営業所の5人が逮捕・起訴され、無免許運転続行の事実を隠すために虚偽報告した新たな容疑で当時の本社部長と営業所長も逮捕された、という事件。
これをベースにしながら、鉄道事業担当副社長とバス事業担当副社長との社内的な確執や、無免許運転の当事者と「替え玉」を請け負った運転手との背景事情など、立体的かつリアルなケーススタディ。

課題)
2月19日に「告発書」に対する対応を決定するための取締役会を行う。
当該営業所の関係者は隣室で待機。いつ、誰から事情聴取を行うかは取締役会の判断。


取締役会、スタート
「でっち上げだ」と保身を図る副社長(コスプレ中)

両副社長を退室させ、運転手への個別聴取開始。
聴取により、以前営業所構内で発生した人身事故が「替え玉」背景にあったことを知り、愕然とする経営陣

隠蔽工作が明らかになり、引責辞任を迫られ、万事窮した副社長
記者会見では、記者からの厳しい質問とツッコミに、処分した運転手の実名をつい漏らしてしまうという一幕も。。。

第4回演習 ディベート「商標の機能」(Case No.111)

2011年1月15日 於:日本外国人特派員協会会議室

毎期最低1回は実施されるディベート形式による演習。現役受講生をテーマに対する「肯定派」「否定は」の2グループに分け、OB諸氏が審判団となり、論理性・説得力・資料の適切さ・反対尋問力、といった観点で勝敗を決する。
これまでのディベート演習では審判団を軽視する傾向があったため、今回は商標権侵害なしとして製品化を進める第一企画部と、問題ありとして製品化に反対する第二企画部の論争を、社長をはじめとする経営陣が聞いて判定するというケーススタディとして設定。

概要)
パッケージに表示されている文字などは、包装されている中身の商標と言えるか否か
課題)
第1企画部は、温かな家庭の日常にもっとワインを!という趣旨で、「ハートウォーミングなひと時はワインから」をキャッチコピーに、事業展開を行なうプランを打ち出してきた。ラベルやワイン包装箱のデザインも出来上がっている。2011年秋からワインの販売を開始する予定だという。
しかし、第2企画部から、「山田興業という会社が『ハートウォーミング』という商標を登録しているため、今回の企画は商標権を侵害する可能性がある」との報告があがった。
そこで
第1企画部は商標権侵害にはならないとの主張(侵害否定派)、
第2企画部が商標権侵害になるとの主張(侵害肯定派)
に分かれて、社内ディベートを実施し、その結果を参考にして発売の是非を決めることとなった。
結果)
4対3の僅差で、侵害肯定派の第2企画部の勝利。


手前が侵害否定の第1企画部、奥が侵害肯定の第2企画部
第2企画部の反論開始

相手の主張を分析、反論と効果的な反対尋問を検討する
論拠や事例も主張する順番次第では有利にも不利にも働く

精巧なモックアップを準備した第2企画部
審判団はOBが、社長含めた取締役という設定で。

第3回演習「取締役の責任ー事業展開と取締役の忠実義務ー」(Case No.3 19thEd.)

2010年11月27日 於:アイセミナーハウス

取締役の競業避止義務違反が裁判で争われた「山崎製パン事件」を母体にした、戦略法務講座中島塾で最も著名なケーススタディ。1期から今期20期まで全期において取り上げられているため、卒業生含めて全員が共通体験を有することとなり、中島塾受講者の一体感醸成に効果を発揮している。

概要)
第二次世界大戦後の動乱期に、文字通り裸一貫独力で市川製パン社を創業し、事業拡大をして来た現社長の土肥。ワンマン経営者で、社内の反対にもかかわらず千葉市の市川パンを個人で買収したり、関西進出も個人でリスクをとって強引に進めていった。
小麦粉を納入していた東洋製粉社は、土肥が病魔に倒れたときに取締役の派遣を依頼されたことを契機に市川製パン社の系列化を画策する。土肥社長の実弟との確執も利用し、突然土肥社長の過去の独断経営行為を会社法違反に該当するとの問題提起から戦いの幕は開いた。

課題)
時代を昭和51年と仮定して、11月27日の予定で臨時取締役会を開催する。議題は社長の法的責任の究明と措置の決定である。ただし、法律は全て現行会社法(平成22年10月現在)を適用するものとし、過去も同様の法律が施行されていたものと設定する。
臨時取締役会修了後、市川製パン社は記者会見を行う。


臨時取締役会、スタート。
土肥社長(左)、森田副社長(右)兄弟の確執は解けるのか 

森田副社長と、東洋製粉社派遣の荒巻取締役・木内監査役の3名が辞任届を提出して退席。
5カ年計画を自信満々にプレゼンする土肥社長

急遽行われた主要株主会議でも理解を支援を取り付けた。
夕食兼懇親会。ノーサイド。詳細な講評は翌日、今は乾杯!

第2回演習「業界再編と株主 SR(Share Holder Relations)を考える」(Case No.110)

2010年10月30日 於:日本外国人特派員協会会議室

2007年に実際にあった、経営統合を図って行われた臨時株主総会において両社経営陣同士が合意した経営判断を個人株主が否決した事案がベースになっています。

概要)
株式交換によってなにわ製鉄の完全子会社になるために株主総会の特別決議が必要な千代田鋼鉄と、その株式交換比率が低過ぎるから否決しようと個人株主に訴える投資ファンドのチェリーアセットマネジメントによるプロキシー・ファイト。
千代田鋼鉄の交換比率が低い背景には、同社社長個人への迂回融資10億円が不良債権化しているためというスキャンダラスな事実が仕込まれているのですが、これを把握している一部の関係者の誰かが戦略的に使うのか。千代田鋼鉄・なにわ製鉄の会社側としては株主を納得させて味方につけ、実際のモデルケースとは別の結論に至ることができるのか。株主とともに重要なファクターである世論・風評を味方にするためには・・・、などなど中島塾ならではの迫力あるケーススタディです。

課題)
千代田鋼鉄は10月30日開催予定で臨時株主総会を行うこと。
招集通知は方の定めに従って手続きすること。ただし、発送はメール送信にて行う。
本ケースで委任状を勧誘する際には、「金融商品取引法」及び同法に基づく「上場株式の議決権の代理行使の勧誘に関する内閣府令」は適用しない。
株主総会修了後、千代田鋼鉄・チェリーアセットが、それぞれ主催の記者会見を行う。なお、記者会見準備及び会見に関係当事者を参加させるかどうかは各社にて検討する。


定刻前になり、出席株主の受付と委任状のチェックを行う千代田鋼鉄経営陣。
臨時株主総会スタート。

議長から指名され議案の内容説明を行う、少数株主であるチェリーアセット社代表。
結果は千代田鋼鉄の敗北(なにわ鉄鋼との合併は否決、株主提案の取締役候補は可決)。チェリーアセット社提案の2名の取締役を加えた、千代田鋼鉄新経営陣による記者会見

チェリーアセット側の記者会見。なにわ鉄鋼と合併の再交渉が現実的に可能なのか、など厳しい質問が続く。

第1回演習「製品事故と企業対応」(Case No.109)

2010年9月11日 於:日本外国人特派員協会会議室

ある日銀座の高松屋デパートで、オリオン社製のサンダルを履いた5歳の男の子がサンダルがエスカレーターに巻き込まれ、右足中指骨折・指3本の爪が剥がれる大怪我を負った。事故の一報を受けたオリオン社・高松屋では対策会議が開かれる。
実はオリオン社の主力商品である同型サンダルによる同様な事故は本件だけではなかったが、社長によってひた隠しにされて来ていたため幹部もほとんどが知らなかった。そこにマスコミや官庁から取材や事情説明の依頼が入り、広報部は記者会見を90分後に開くことを約束させられていた。
一方の高松屋では「老舗の百貨店」としての体面を保つべく、高松屋側に責任がないことを表明するための記者会見の準備が進行する。事故原因は製品の欠陥であるとの方向で原因究明を進めていくと、外注しているエスカレーターの保守点検作業が、あるときから頻度が半分になっていたことが判明する。メンテナンスを主管する総務担当取締役は・・・・。

課題)オリオン、高松屋のグループごとに、ポジションペーパー・リリース・記者会見用Q&Aを作成し(90分)、約30分間の記者会見を行うこと。

中島塾長よりルール説明と注意事項が示され、開講と同時に演習本番がスタート。

オリオン社グループ。保身をはかる社長の隠蔽工作を暴き、事実関係を確認し、記者会見に臨むことができるか
オリオン社の記者会見。

高松屋グループの記者会見は、事故発生についての謝罪からスタート。
模擬会見の記者団は、現役のマスコミ記者はじめ中島塾OBがボランティアで参加。

今回の演習総括と解説を中島塾長から。
まさに「ノーサイド」。OBも参加して懇親会で、参加者個々の健闘を讃え合う。