第6回演習 監査等委員会ーコーポレート・ガバナンスの実践と法制度ー(Case No.119)

2015年2月21日 於:日本外国人特派員協会会議室

概要

大王製紙事件をベースにしながら、会社法改正で導入される監査等委員会制度の内容とコーポレート・ガバナンスにおける有効性について議論するケース。
24期現役生は、ケース演習に先立って当該テーマについてのレポートを提出し、そこから配役に従って演習を開始する。

あるグループ企業の創業一族三代目の社長が、海外のバカラ賭博で負った借金の返済に子会社から引き出した資産を私的に流用していたことが内部告発で判明する。一部の株主から当該不明朗な融資に関して株主説明会の開催を要求され、対応することになるが…。

混乱の株主説明会

社長本人不在の説明会は、株主からの疑問や不安を払拭できず、会社への不信感が募る。この機に乗じて乗っ取りを画策するアプローチもあり、株主総会と似て非なる株主説明会は大荒れに。

今回のMIP

終始冷静で的確な対応を行った、代表取締役専務役の小澤氏


第5回演習 コンプライアンスと実践(Case No.97 6thEd.)

2015年1月17日 於:日本外国人特派員協会会議室

概要

バス会社が運転手が無免許状態であったことと、他の運転手を「替玉」に使って隠蔽しようとしていたことが、内部からの告発文書により発覚。会社はどのように対応するのか・・・。
モデルとなるのは、2003年の通称「名鉄バス無免許隠蔽事件」。免許更新を行っていなかった営業所の路線バス運転手が運行中に市内で追突事故に遭った。運行主任は直後に無免許を知らされたが運転を続けるよう指示。その後、別の運転手に県警の事情聴取を受けさせた。「替え玉事件」をめぐり同営業所の5人が逮捕・起訴され、無免許運転続行の事実を隠すために虚偽報告した新たな容疑で当時の本社部長と営業所長も逮捕された、という事件。
これをベースにしながら、鉄道事業担当副社長とバス事業担当副社長との社内的な確執や、無免許運転の当事者と「替え玉」を請け負った運転手との背景事情など、立体的かつリアルなケーススタディ。

課題

1月17日に安全管理体制についての取締役会を行う。
当日は、定例取締役会終了後、全社集会が予定されているため、主だった営業所の従業員も本社に来社している。

取締役会スタート

関係者を個別に呼び出してヒアリング調査を行う場面では、怒声が飛び交う一幕も。

今回のMIP

社長役を務めた柴氏。

第4回演習 職務発明を考える(Case No.118)

2014年11月29日 於:日本外国人特派員協会会議室

概要

2014年10月17日、産業構造審議会知的財産分科会の特許制度小委員会は、次のような制度見直し方針案を示した。

方針案「職務発明に関する特許を受ける権利ついては、初めから法人帰属とする」

この方針案に賛成すべきか、反対すべきか。「賛成派」「反対派」に分かれてディベートを行う。
両派ともディベートに際しては、職務発明をした従業員のインセンティヴ、企業と従業員との調整方法、調整についての政府の関与など、派生論点ごとに分担して論及するようにし、全員がプレゼンテーションを行うこと。

反対派、僅差で勝利!

審査員の票数では引き分け、素点合計で反対派が僅差で勝利。

今回のMIP

両派1名づつ、豊田氏と犬童氏が選出された。

第3回演習 株主総会と企業ガバナンス〜総会は企業を変えられるか?〜(Case No.112-5th Ed.)

2014年10月25-26日 於:アイセミナーハウス

概要

東証2部上場の太陽電気は電気部品の専業メーカー。1945年設立・資本金22億円・従業員160名・売上60億ほどの規模で、昨今は業績が低迷している。2013年3月、大量保有報告書により2007年設立のニコラ電子が30%の大株主になっていたことが判明、2013年10月の定時株主総会では会社提案の取締役承認議案が否決され、ニコラ電子の伊藤・岩本・上松が取締役として承認される修正議案が成立、創業家三代目の小澤社長はその座を追われた。ニコラ電子出身の取締役たちは、ニコラ電子と太陽電池製造装置の共同開発を行うために巨額の出金を目論むが。。。
太陽電気はニコラ電子による乗っ取りから会社を守ることができるのか、監査役はどう動くのか、前社長の小澤は・・・。
課題)
10月25日に太陽電気社の定時株主総会を行う。議案については、事業報告と計算書類の報告、剰余金配当の件は省略し、「取締役5名全員任期満了につき5名選任の件」のみとする。

伊藤社長の粘り勝ち。小澤元社長、返り咲けず。

「取締役会で強行採決が行われた」「経営判断について、意見が割れることは当然。議論は白熱した」「監査役から差止請求がなされたはず」「差止に該当する対象事実は無い。仮処分の申請もなされていないではないか」。。。ああ言えばこう言う、伊藤社長はのらりくらりと追及をかわす。
やがて小澤元社長からニコラ電子出身社の排除と自身の返り咲きを企図した修正動議が提出され、議決に。原案先議で、5名の取締役個別に信任採決を行った結果、候補5名中3名が信任されたため、会社側原案が可決・修正動議は採決を待たずに否決、となった。


今回のMIP

柔和な物腰ながら、見事に「悪」に徹し切った伊藤氏。

第2回演習 取締役の責任ー事業展開と取締役の忠実義務ー(Case No.3 23rd Ed.)

2014年9月6日 於:日本外国人特派員協会会議室

中島塾伝統のケース

取締役の競業避止義務違反が裁判で争われた「山崎製パン事件」を母体にした、戦略法務講座中島塾で最も著名なケーススタディ。1期から今期24期まで全期において取り上げられているため、卒業生含めて全員が共通体験を有することとなり、中島塾受講者の一体感醸成に効果を発揮している。

概要

第二次世界大戦後の動乱期に、文字通り裸一貫独力で市川製パン社を創業し、事業拡大をして来た現社長の横山。ワンマン経営者で、社内の反対にもかかわらず千葉市の川口パンを個人で買収り、関西進出も個人でリスクをとって強引に進めていった。
小麦粉を納入していた東洋製粉社は、横山が病魔に倒れたときに取締役の派遣を依頼されたことを契機に市川製パン社の系列化を画策する。纐纈社長の実弟である副社長との確執も利用し、突然横山社長の過去の独断経営行為を会社法違反に該当するとの問題提起から戦いの幕は開いた。

課題)
時代を昭和51年と仮定して、9月6日の予定で臨時取締役会を開催する。議題は社長の法的責任の究明と措置の決定である。ただし、法律は全て現行会社法など(平成26年7月現在)を適用するものとし、過去も同様の法律が施行されていたものと設定する。

予定調和感の否めない取締役会

横山社長は最初のうちこそ「そもそも、ワシが身体を張ってやって来たことのどこが違法だというのか」と今回の議案に対する根源的な不満を口にしていたものの、「関西イチカワも千葉工場と同様に、会社に株式を移転する」「自分の体調が万全でないので、副社長に社長をゆずる」「受領した配当金や株式の譲渡価格などは、税務面でも良く検討して行ってくれれば良い」と、一気に弱気に。
社会における会社のイメージを守るために、というお題目で予め整理されたシナリオに一気に収束した。

荒れる記者会見

「(旧)千葉工場、関西イチカワ両社の運営に関し、弊社代表取締役社長である横山による、会社法上の競業避止義務違反の疑いがあるため、明日の取締役会でその点を議論した上で、結果を16時からの記者会見で発表する」との事前案内で開催された会見であったのに、冒頭から「今後の新体制についてのご説明をします」となり、記者たちからは一斉に怒号が。
社長と副社長が並んで出席し、会社の一体感を演出しようとしたものの、「取締役会では何が話し合われたのか」「その端緒となった意見書を提出した監査役の話が聞きたい」「監査役を呼んでくれ」と記者は収まりがつかない。会社側は急遽東洋製粉出身の油井・伴野監査役を参加させるに至って、ますます収拾が付かず、不透明な印象を残して記者会見は終了。

今回のMIP

社長役を熱演した横山氏。

第1回演習 非常時のリスク対応(Case No.114 3rd Ed.)

2014年7月26日 於:日本外国人特派員協会会議室

概要

日比谷食品株式会社は東証一部上場で、調味料・冷凍食品・健康食品まで幅広く食品の製造販売事業を展開している。人気商品は「まるまる餃子」「まるまるシューマイ」で、これらの製造は全て100%子会社の「多摩川食品株式会社」に委託していて、商品は「製造元:多摩川食品 販売元:日比谷食品」という表示にて販売されている。
7月26日12時30分、製造本部長宛に食品事故と思われる報告が上がって来た。チェーンストア・フレッシュフーズ日比谷店で、前日に「まるまる餃子」を購入して食した客の子供が呼吸困難となり救急車で搬送された、母親によれば当該子供は卵アレルギーを持っておりその症状ではないかと思われる、というもの。
日比谷食品から多摩川食品の幹部にも情報は伝わったが。。。

課題)
・緊急対策会議を行い、必要な情報収集とポジションペーパーとリリースを作成、記者会見を行う。

精緻なケーススタディをロールプレイングで仮想体験する「中島メソッド」、スタート

日比谷食品チーム多摩川食品チーム13名の受講生には、それぞれ個別の役割・ミッションと情報が設定されているので、まずは与えられた個別の資料を読み込むことから始まる。自分自身の戦略目標と組織の戦略目標を設定しながら、それを達成するための戦術を検討していく。
日比谷食品チームは、代表取締役社長・取締役営業本部長・取締役製造本部長・取締役広報部長・取締役法務部長・取締役開発本部長・監査役の7名、多摩川食品チームは、取締役会長(創業者)・代表取締役社長(日比谷食品出身)・取締役総務部長(多摩川食品生え抜き)・取締役製造部長(元日比谷食品製造本部)・取締役製造部副部長(元日比谷食品製造本部)・監査役の6名。

緊急対策会議で情報収集開始

合同会議スタート子会社の多摩川食品幹部も親会社の日比谷食品に合流し、一緒に状況把握と対策検討開始。効率良い情報収集と分析はハードルが高い。
ここでは、親会社と子会社という立場と力関係、各自が職責上有する立場や利害、特に多摩川食品の幹部社員の個人的な背景事情など、対策構築にも微妙な温度差を生じさせる「仕掛け」が施されており、議論はなかなかまとまらない。

記者会見

リリースもポジションペーパーの作成も間に合わないままに会見スタート。「原因が特定できていないということは、さらに新たな被害も発生するのでは」「何のための会見なのか」・・・記者とOBから厳しい質問の連続。

今回のMIP

実年齢に似合わない(?)老練な言い回しで、優柔不断な日比谷食品社長役を担当した豊田氏が、24期一人目のMIP賞に。